店舗経営において最大の悩みは「お客様が来ない」こと。どれほど素晴らしい商品を用意していたとしても、お客様がいらっしゃらなければ売上が立ちません。
お客様に商品を買っていただくためには、自分たちのお店の強みを踏まえて「お客様が来店し続ける仕組み」を作る必要があります。
そこで今回は、店舗の売上をアップするために役立つ「店舗マーケティング」の方法について解説します。
そもそも、マーケティングとは
マーケティングとは、企業がお客様に商品を買っていただくために実施する経営活動の全般を指す言葉です。
わかりやすい参考としてグロービス経営大学院では、「顧客満足を軸に『売れる仕組み』を考える活動」と定義しています。
中小企業の店舗経営にとって最大の悩みは「お客様が来ないこと」ですから、グロービス経営大学院の定義を中小企業の店舗ビジネスに置き換えて考えると、「お客様が来店し続ける仕組みを作ること」といえるでしょう。
店舗の集客を最大化するマーケティング戦略の5ステップ
店舗ビジネスの売上は「客数×客単価」で計算する事ができます。
たとえ客単価を上げなかったとしても、お客様の数が増えると売上をアップさせることが可能です。
そのため、店舗の集客を最大化するマーケティング戦略を検討することが重要になります。
目標は、「同じお客様に何度も足を運んでもらうこと」。具体的には、下記のような構造を実現することを考えてみるとよいでしょう。
ステップ1:お客様に認知してもらう
ステップ2:入店の動機をつくる
ステップ3:お客様に最初の商品をご購入いただく
ステップ4:お客様とつながる
ステップ5:お客様が再び来店する動機をつくる
一つずつ考えてみましょう。
ステップ1:お客様に認知してもらう
お客様に店舗へお越しいただくためには、まず「店舗があることを知ってもらうこと」から始めなければいけません。では、どのようにすればお客様にお店の存在を知ってもらうことができるでしょうか。
お客様がお店を認知する方法としては、広告を利用する方法と、広告を利用しない方法の2種類があります。
広告を利用しない方法の代表例は「外観販促」です。たとえば看板や、のぼり、タペストリーなどを活用して、店舗の前を通る人達に存在をアピールします。
外観販促において重要なのは「目をひくこと」。店の雰囲気やコンセプトにもよりますが、周囲の風景に馴染むことのない配色や装飾、サイズ感を重視しましょう。
お客様の目線になって通りを歩き、「パッと目につく」ような外観販促が理想的です。
また、「ホームページ」や「SNS」など無料で利用可能なオンラインサービスを使った販促も可能です。特に近年は、若い世代を中心にSNSを使ってお店選びをする方も増えています。お店のターゲット層が比較的若年層であれば、SNSでの発信を続けることで認知を広げることも効果的です。
SNSを使った認知拡大では、「フォロワーの役に立つ情報を発信すること」と「フォロワーとコミュニケーションをとること」を心がけましょう。利用者と近い立場で双方向のコミュニケーションを取ることがお店への信頼を育み、来店誘導につながります。
ステップ2:入店の動機をつくる
お客様は店舗を認識したあと、「そのお店に入るべきかどうか」を判断します。しかし、理由もなくお店に入ることはありません。
そのため、店舗側から明確な「入店の動機」を提示することができれば、店舗を認知したお客様が敷居を越えて店舗まで足を運んでくれる可能性が高まります。
一般的に、新規顧客よりも既存顧客のほうが、お客様獲得のためのコストが低いと言われています。つまり初めて入店する最初の1歩を後押しすれば、その後も継続してお店にお越しいただく可能性がぐっと高まるのです。
入店動機をつくる具体的な方法としては、期間限定のキャンペーンやイベントの開催、プレゼント配布などが挙げられます。
ステップ3:お客様に最初の商品をご購入いただく
イベントやキャンペーンなどを理由にご来店いただいたお客様には、比較的低価格な商品(いわゆるエントリー商品)を販売してみてください。
先に述べた通り、新規顧客よりも既存顧客のほうがお客様獲得のためのコストが低い傾向があります。そのため、新規でご来店頂いたお客様にあえて高い商品を買ってもらう必要はありません。いずれ高単価の商品をご購入いただけるように、まずは低単価の商品で価値を感じてもらうことを優先しましょう。
整体やマッサージ、美容室のように、店舗で販売している商品がモノではなくサービスの場合は、最初の1回目のサービス利用料金を特別割引するという方法があります。
店舗で日用雑貨等を販売しているのであれば、特定の商品を特売にし、店頭で目立つ形で販売する方法があります。
店舗で販売している商品がモノであっても、サービスであっても、はじめにお越しいただいたお客様へ「低単価で高品質の価値」を感じていただくことが重要です。
最初の1回目の購買行動が、2回目以降の購買意欲につながっていきます。
ステップ4:お客様とつながる
一度ご来店いただいて商品をご購入いただいたお客様は、再び来店して商品を購入する見込みの高いお客様になります。そのようなお客様との関係を継続するために、「お客様とつながる」ことが重要です。
具体的な方法としては、「会員制度への入会」があります。氏名、住所、生年月日などを記入してもらい、顧客リストを作成しましょう。
会員制度への入会を促す際は、「その場で〇〇円割引します」や「ポイントが溜まったら〇〇円分の商品券と交換できます」といった動機づけを用意しておくと便利です。
「LINEお友だち登録」など、アプリを利用した会員管理でも問題ありません。客層に応じて施策を検討してください。
ステップ5:お客様が再び来店する動機をつくる
ステップ4までは、初めてのお客様にご来店いただくための施策でした。ステップ5は、一度ご来店いただいたお客様に再びご来店いただくための動機をつくります。
顧客リストは、再び商品をお買い上げいただける可能性の高いお客様のリストですので、活用しない手はありません。
リストの代表的な活用例は、「バースデーメール」。お客様のお誕生月などにあわせて、一部商品の割引などを伝えるハガキやメッセージを送ります。
その他にも、「○周年記念祭」など定期的にイベント情報をお届けするのに活用しましょう。
このような施策を繰り返すことで、同じお客様に何度も足を運んでもらうことが可能となります。
以上が、店舗ビジネスにおけるマーケティング戦略の基本的な考え方になります。
単価が一定の場合、より多くのお客様にご来店いただければ売上は上がります。
そして、より多くのお客様にご来店いただくには、「一度ご来店いただいたお客様に繰り返し来店してもらう」ための仕掛けが必要です。
イベントやキャンペーンを通じて集客し、お客様の名簿を獲得し、再度ご来店いただくための情報発信を続ける。この繰り返しによって、売上をアップさせることが可能となります。
もちろん、店舗で提供している商品やターゲットとしているお客様の客層によって、最適な施策は異なります。店舗の性質に合わせてご検討ください。